南薩線

かつて、薩摩半島西側、日本三大砂丘の吹上浜沿いを縦走していた鉄道があった。私鉄線の南薩鉄道(通称南薩線)である。 南薩線が開通したのは大正3年(1914年)のこと。鹿児島本線(当時は川内線)の鹿児島県内での開通は、鹿児島駅~東市来間の大正2年(19…

ほめずが池、池大王神社、大塔宮

標高二百数十メートルの溝辺台地への斜面部中腹、鹿児島神宮の西側に当たる霧島市隼人町朝日集落には「不讃池(ほめずがいけ)という、ちょっと変わった名前の池がある。 旧隼人町教育委員会発行の「隼人町の民話」に、この池の話が収められている。 朝日に…

アマガエル

畑の溝を上げていると、アマガエルがぴょこんと飛び出し、岩壁に張り付いた。10数年ここで耕してきたが、アマガエルを見たのは初めてだった。 20年くらい前までは、アマガエルが家の窓ガラスに張り付いて、ペロリと舌を伸ばして、ウンカや蛾を食べていた。そ…

いぼの神様

インターネットで「いぼの神様」を検索していると、平松皮膚科医院の「いぼとり神様・仏様の全国リスト」という書の広告に行き当たった。 それによると「全国リストのいぼ神様・仏様は現在1321か所」とある。全国の市町村数が1700余りだから、平均で…

真言水天石柱塔

鹿児島神宮の近く、霧島市隼人町内山田地区には、水天を讃嘆する真言を刻んだ石柱塔が二基ある。 水の神様、水天(水神)の碑は頭にとぐろを巻いた蛇を被り、右手に蛇を持ったものや水神の文字を刻んだものが多いが、この真言水天石柱塔は、水天を表す梵字と…

鹿児島神宮の初午祭

鹿児島市のおはら祭り、曽於市の弥五郎どん祭りとともに、鹿児島の三大祭りの一つである「鹿児島神宮の初午祭」が、令和6年は3月3日の日曜日に行われる。 祭りの主役は、多くの鈴が連なった胸飾り、花や錦などで飾った鞍を着け、ステップを踏みながら踊る馬…

三ケ所の笠狭宮阯

私の住んでいる霧島市隼人町宮内は、彦火火出見尊の高千穂宮があったとされるところだ。そして、私の出身地の南さつま市加世田は、瓊瓊杵尊の笠狭宮があったとされる。個人的な想いに過ぎないのだろうが、こうしたことに、かねてから不思議な縁があると思っ…

宮内は田の神の空白地帯?

霧島市隼人町宮内の原集落に持ち回りの田の神像がある。大小様々、写真の5体は石像だが、他に木像が2体あり、七つの班がそれぞれの中で持ち回りしている。残念ながら、製造年や由来などは不明である。 私たちがこの原集落の田の神像のことを知ったのは、最近…

二千六百年記念事業 その2ー桑原屯倉(みやけ)址碑

霧島市隼人町見次の公民館裏手に「桑原屯倉址」という碑がある。 裏面には、概略「安閑天皇の時代に、この地に穀物倉の桑原屯倉が設けられた。思うに神代の皇室の縁のあるところだからである。この址は今、見次(貢)の地名になっている。桑原は後の郡名とな…

二千六百年記念事業 その1-高千穂宮址

拙稿「鹿児島神宮ー海幸・山幸物語」で少しふれたが、霧島市隼人町の宮の杜ふれあい公園に「神代聖蹟高千穂宮址」碑が建てられている。 碑文を要約すると ①高千穂宮は、久しい間彦火火出見尊の皇居であった。また神武天皇が兄の五瀬命と東遷について話し合っ…

茶わん虫の歌ー鹿児島弁

オムニバスが盛んな頃、鹿児島のバスガイドが車中披露する歌は「南国情話」と「茶わん虫の歌」が定番だった。 「南国情話は、若山彰と熊沢佳子のジュエット曲で、こまどり姉妹も歌った。「岬の風に泣いて散る」という出だしで、ヒットしていた。これに対して…

防災フェスタ

11月26日に霧島市隼人町宮内地区自治会連絡協議会及び宮内まちづくり委員会が主催する防災フェスタが、宮内小学校及び宮内公民館で開催された。 宮内地区全体で、このような防災の催しが実施されるのは初めてのことだった。 今から30年前の平成5年(1993年)…

鹿児島神宮 二の鳥居

鹿児島神宮には二つの鳥居がある。 参道入口のコンクリート造の朱塗りの大きな鳥居が一の鳥居で、参道入口の石造の鳥居が二の鳥居である。 二の鳥居には、明治40年(1907年)8月吉日建設と刻まれている。 江戸時代後期の薩摩藩の地誌、三国名勝図会写図に鹿…

センニンソウの実

長い夏が終わり、農作業も随分気持ちよく出来るようになってきた。 ススキも伸びきったので「これが今年最後だろう」と思いながら土手の草を払っていると、不思議な、花みたいなのが目に入った。Google Lensで調べてみると、センニンソウの実だった。 夏にこ…

孤高の歌人 浜田到トークセッション

約50年前、前衛短歌の旗手として、塚本邦夫、寺山修司らとともに前衛短歌の旗手として高い評価を受けていた、浜田到についてのトークセッションが次のとおり開催されます。 1 日時 11月4日(土)14時から 2 場所 霧島市隼人町見次1371(ホテル京セラ隣…

関白陣

雨の日は、農作業を休んで温泉に行くことが良くある。 何時もは、地元霧島市の日当山や安楽の温泉に行くのだが、この前は少し足を延ばして、伊佐市の針持温泉に行ってみた。透明ですべすべした湯で「つるつる美肌美人の湯」を標榜しているのも納得だった。 …

椎茸の芽吹き

私の畑は、中山間農地だから山に囲まれている。その内、後の雑木山の約3,000㎡が私の山だ。ここで少し椎茸を栽培している。 椎茸は、気温15度くらいになると芽吹いてくる。日中はまだ暑いが、ここ数日、朝晩はひんやりしてきた。昨年は、10月19日に数個取っ…

竹下勇と久木村治休

東京原宿の竹下通りの名称は、大正末期の連合艦隊司令長官・海軍大将の竹下勇の邸宅があったことに由来するとも言われている。 鹿児島神宮境内入口のすぐ左側一角に「征清役従軍紀念碑」「三十七八戦役従軍碑」「三十七八戦役忠魂碑」が並んでいる。征清役は…

雑草の花

夏の間に蔓延った雑草に小さな花が咲きだした。 雑草は、これまでは何も考えずに刈り取っていた。 しかし、NHKの朝ドラの影響だろう。小さな花が可憐に見えてくる。雑草の名前にも関心が出てきた。 こんな時に役立つのはグーグルレンズだ。とても有難い。 中…

安産祈願のお宮 石體神社

「石體の神のやしろに小石つむ この縁さえ愛しかりけれ」 霧島市隼人町の宮の杜ふれあい公園に、昭和15年発行の斎藤茂吉の歌文集「高千穂峰」に掲載されているこの歌の歌碑がある。 斎藤茂吉歌碑 石體(しゃくたい)の神のやしろとは、鹿児島神宮の摂社の石…

センニンソウ

草茫々の畑の土手を払っていると、藪の中に白い可憐な花が咲いているのが目に入った。刈払機を停めてGoogle Lensで調べてみた。「センニンソウ」のようだ。 センニンソウの花? センニンソウは国内どこにでも生えている雑草みたいだが、ここでこうして花を見…

里芋の花

私の畑は標高50m~60mのところにある。後は山、前は川、そのため、これまでは自宅付近より気温が2~3度低く、夏も作業しやすかった。 ところが、今年は自宅も畑も変わらない。 そのためか、夏場の作物として作りやすい里芋にも異常が出た。花が咲い…

鹿児島神宮拝殿コンサート

東北地方の大曲で盛大な花火大会があった昨夜、南の鹿児島神宮では、厳かに霧島フィルハーモニーカルテットによる拝殿コンサートが催された。 霧島フィルハーモニーカルテットの拝殿での演奏 鹿児島神宮は、こんもりとした木々に囲まれている。昨日も残暑が…

隼人の乱と熊襲征伐 その4ー七つの城

八満宇佐宮御託宣集によると、隼人の乱の時隼人は、奴久良、幸原、神野、牛屎、志加牟、曽於乃岩城、比売乃城の七つの城に立て籠ったとされている。 隼人が1年数ヶ月立て籠ったとされる比売乃城跡 一方、國分の古蹟などには、熊襲梟帥の種族の居城として隈(…

隼人の乱と熊襲征伐 その3-おびき出し

このブログの「隼人の乱と熊襲征伐 その1ー隼人塚の建立目的」で、「熊襲の頭目の川上梟帥が橋の上でおもしろおかしく拍子をとり、踊りを踊ったという話が伝わっており、拍子橋と言うようになった。この付近で川上梟帥が日本武尊に突き殺されたという伝説も…

小さな、小さな六月灯

霧島市隼人町内山田の宮内原用水の小田への分水路起点の土手に、梵字の掘られた高さ1mくらいの「野崎の水神」と呼ばれる石柱がある。 旧隼人町教育委員会発行の「隼人町の石造文化財」によると、一番上の梵字は水の神様である水天を表しており、その下の梵…

隼人の乱と熊襲征伐 その2ー四肢神社

霧島市国分野口に枝宮神社がある。 神社の由緒書きには「当社は、三国名勝図会、薩隅日地理纂考により大人彌五郎別名川上梟帥の四肢が葬られると伝えられる」と記されている。 ちなみに、天保14年(1843年)にまとめられた薩摩藩の地誌である三国名勝図会に…

隼人の乱と熊襲征伐 その1ー隼人塚の建立目的

日豊本線隼人駅の近くに五重塔3基と四天王像4体が建っている。国指定史跡の隼人塚である。指定日は、文化財保護法の前身である史蹟名勝天然紀年物保存法が施行されて間もなくの大正10年(1921年)3月3日で、鹿児島県では最も早い。 指定の理由は、「熊襲の怨…

オミナエシとベニシジミ

久しぶりに晴れた昨日、山あいの畑に草を払いに行った。 雑草が生い茂り、虫が付き放題の畑だが、妻は所々に花を植えて楽しんでいる。 軽トラの駐車場横にはオミナエシ、これが大きくなって倒れ掛かり、何時もは邪魔に思うのだが、昨日は違った。特別にきれ…

鹿児島神宮の御田植祭

鹿児島神宮の御田植祭は、旧暦の5月5日に近い日曜日催行される。今年は、6月25日だった。当日は、朝からの小雨で、絶好の田植え日和になった。 県指定有形民俗文化財の「宮内の田の神」の前で、田の神様が舞を奉納されるなどの神事が厳かに進んだ後、まず姶…