いぼの神様

インターネットで「いぼの神様」を検索していると、平松皮膚科医院の「いぼとり神様・仏様の全国リスト」という書の広告に行き当たった。

それによると「全国リストのいぼ神様・仏様は現在1321か所」とある。全国の市町村数が1700余りだから、平均では1市町村1ケ所に満たないということになる。

リストには載っていないのだが、霧島市隼人町神宮の三叉路角地にも、地域の人たちから「いぼの神様」と祀られてきた石像がある。

廃仏毀釈によるものだろうか。顔部から頭部は痛々しく削られている。しかし、こちらも完全ではないものの、宝珠と錫杖を持っていることから、地蔵尊像だということが分かる。

いぼの神様に祈願する時は、小豆や大豆を供えるとか、きれいな水で洗うとか、小石で擦るなどが良く言われるが、ここの地蔵尊像には、そういったものに関係しそうなものは何もない。それにいぼが取れたという評判も聞いたことがない。それでもいぼの神様と言われてきているのである。何故なのか分からない。過去に、いぼが治ったか何かあったと推測するしかない。

今は、いぼの神様にいぼ取りの効果があると考える人など滅多にいない。そのうち、この地蔵尊像をいぼの神様と言う人もいなくなってしまうかもしれない。

確かに、実体的なご利益は見えない。しかし、それでも一つの地域遺産である。何とか、繋いでいきたいと思う。

広告には「リスト以外のいぼ取りさんがあったら連絡して欲しい」とあるが、由来等が不明な状態では、連絡するわけにはいかない。