防災フェスタ

11月26日に霧島市隼人町宮内地区自治会連絡協議会及び宮内まちづくり委員会が主催する防災フェスタが、宮内小学校及び宮内公民館で開催された。

宮内地区全体で、このような防災の催しが実施されるのは初めてのことだった。

今から30年前の平成5年(1993年)7月31日から8月6日にかけて、鹿児島県本土は異常に激しい大雨に見舞われ、大規模崖崩れや河川氾濫が発生し、県全体で72人、霧島市でも17人が亡くなった。

ところが、30年も経つと当時を知る人は少なくなっているとともに、その後霧島市では大きな災害は発生していないこともあって、住民の防災意識の低下が懸念されていた。こうしたこともあって、防災訓練の必要に迫られていた。しかし、こうした住民意識の中、避難訓練だけでは住民の関心を集めることは難しいと思われた。そのため今回のフェスタは、イベント性を持たせたものとして実施された。

フェスタでは、消火訓練、放水訓練、避難訓練を始め、防災に関連した自衛隊、消防、警察車両の展示と試乗体験、自衛隊、消防服の試着、AED体験、公衆電話の使い方実習、非常食の試食、30年前の災害状況や災害危険個所の写真展示など多彩なプログラムが盛り込まれた。

消火訓練では消火器の使用が割合簡単だと感じたようだ

避難テントやAED体験、公衆電話の実際通話などができるブース

消防車の試乗体験

麺つゆを使ったおにぎりなどの炊き出し訓練

防災講習の講師は、熊本地方気象台長などを務められた用貝敏郎氏だった。30年前の災害の教訓や線状降水帯の発生メカニズムなどを図示して丁寧に説明してくれた。

講演や体験で緊張感が漂う中、子供たちに防災コーナーを回ってもらうスタンプラリーや防災ぬりえ、防災川柳コンテストも実施され、楽しみながら防災に関心を持ってもらう工夫もなされていた。

参加者は、地区住民の1割に当たる約800人だった。

異常気象が頻発する中、世界中で大きな災害が発生しているが、それはこの宮内も例外ではない。いつ30年前と同じような又はそれ以上の災害が発生するかもしれない。その時に、いかにして命を守るのか。「避難に空振りは許されるが、見逃しは許されない」ということを学んだ。そして、避難所ではどのような準備、行動が求められるのか、肝に銘じさせられたフェスタであった。