アマガエル

畑の溝を上げていると、アマガエルがぴょこんと飛び出し、岩壁に張り付いた。10数年ここで耕してきたが、アマガエルを見たのは初めてだった。

20年くらい前までは、アマガエルが家の窓ガラスに張り付いて、ペロリと舌を伸ばして、ウンカや蛾を食べていた。その頃は、「ウンカが中国大陸から飛来してきて困る」と農家が話していたものだが、近年はそんな話はとんと聞かない。私の家は、私の中山間農地からは約5kmのところで、住宅化が進んでいるものの、田んぼに囲まれている。そんな場所にもウンカが飛んでこない。農薬かなあ。

ウンカを見なくなって、家の窓にアマガエルが張り付くことも無い。だから、アマガエルを見たのも久しぶりのことだった。

ただ、アマガエルだけでなく、蛇類も見なくなっている。

私の畑は水気が多く、最初耕作しだした頃は、周りの人たちから「ここはマムシの巣だ」と教えられた。そのため、畑でも後ろの山でもマムシには気を付けていたが、見たのは最初の頃、畑で1回、山で1回だけだ。

以前は、畦道でいくらでも遭遇していたヤマガカシも近頃は見ることがない。毎年、抜け殻が一つあるので、青大将は一匹いるようだが・・。

普通のカエルも極端に少なくなった。以前は、水が温むと畑のたまり水や溝におびただしい数の卵が産みつけられ、オタマジャクシがうじゃうじゃ孵っていたのに・・。

緑に囲まれ、澄んだ空気を吸いながら、適度に汗をかくという長閑な野良仕事だが、こうした生物環境の変化を見るとフッと「あと10年経てば、20年後は、孫の時代はどうなるのだろうか」と、心配になることがある。