鹿児島神宮拝殿コンサート

東北地方の大曲で盛大な花火大会があった昨夜、南の鹿児島神宮では、厳かに霧島フィルハーモニーカルテットによる拝殿コンサートが催された。

霧島フィルハーモニーカルテットの拝殿での演奏

鹿児島神宮は、こんもりとした木々に囲まれている。昨日も残暑が厳しかったが、夕方になると、木々の間から涼しい風が吹いて来て、主催者が配った団扇をあおぎながら、大勢の人々が拝殿前の広場でバイオリン、ビオラ、チェロによる「となりのトトロ」「見上げてごらん夜の星を」などの演奏に耳を傾けた。

拝殿前で演奏を楽しんだ

鹿児島神宮の本殿、拝殿、勅使殿が建てられたのは宝暦6年(1756年)、300年近く前のことである。本殿、拝殿、勅使殿ともに極彩色の漆塗りで、本殿向拝の龍柱や勅使殿の龍の持送り、本殿の壁画、拝殿の天井画など豪華で質の高い建物となっており、2022年2月に国の重要文化財に指定されている。

建物面積は、本殿が62坪で木造建築物としては、鹿児島県内最大、国内でも有数の大きさである。また、拝殿は25坪、勅使殿は18坪余である。

建設当時、薩摩藩木曽三川の治水工事(宝暦4年~5年)により、極端に厳しい財政状況にあった。そうした中で何故このような豪勢な建物を作ったのだろうか。薩摩藩の意地が見えるような気がする。拝殿には木村探元が描いたと言われる天井絵がある。この中には、当時日本に無かったメロン、サボテン、ケイトウカーネーションなどが描かれており、密貿易の証拠を堂々と示しているのだとも言われている。

メロン、ケイトウなどが描かれた天井絵

なお、拝殿コンサートの会場では、この天井絵がホログラムで映像表現された。

天井絵のホログラム

鹿児島神宮主祭神彦火火出見尊と御妃の豊玉比売命で、中央の御帳台に祀られている。

拝殿と御帳台

古事記に「海幸山幸物語」がある。物語では、彦火火出見尊の山幸彦は、兄の海幸彦から借りた釣り針を探しに綿積宮に行って、海神の娘豊玉姫と結ばれる。この拝殿コンサートは、彦火火出見尊の山幸彦が豊玉姫と過ごした綿積宮での楽しい3年間を思い出させるものとなったかもしれない。